
あるところに
ちいさなスープやさんがありました。
おみせは 山の上にあります。
まわりには ほしが いっぱい。
とても しずかな ところです。
おみせの なまえは
「ほしのスープやさん」
おみせをしているのは
しろい ふくをきた
くまの クーク。
おきゃくさんは
ねむれない どうぶつたちです。
きょうは めずらしく
おきゃくさんの こないよるでした。
おみせのまえの はっぱも
だれかのあしあとも ありません。
クークは ランプを ていねいにふきながら
ことこと おなべに お水を いれました。
「だれかのためじゃなくて
じぶんのために つくるスープって
どんなあじだったかな」
おなべのなかに クークがいれたのは
きょう まちで もらった ちいさなきのこ。
まるいチーズの はしっこ
うすく あおい キャベツのはっぱ。
ゆっくり ゆっくり まぜながら
クークは あたまのなかを からっぽにしていきます。
くつくつ
ぽこぽこ
それだけの音が おみせにひびいて
クークのからだに しずけさが しみこんでいきました。
やがて できたスープを
クークは まあるいボウルにいれて
まどぎわの ちいさなテーブルに すわりました。
まどのそとには ほしがひとつ
ひくく ながれていきます。
クークは ひとくち
スープを くちにいれました。
「……わるくないね」
おきゃくさんの ことばがない。
ありがとうも おいしいも ない。
でも スープは たしかに
からだのなかで ひろがっていきました。
クークは ゆっくりと いきをはいて
おなべを あらって
ランプのあかりを けしました。
まどのそとの ほしを みあげながら
クークは そっと つぶやきました。
「いいゆめが みられますように」
その声は スープの ゆげのように
ゆっくりと よるに とけていきました。

あるところに
ちいさなスープやさんがありました。
おみせは 山の上にあります。
まわりには ほしが いっぱい。
とても しずかな ところです。
おみせの なまえは
「ほしのスープやさん」
おみせをしているのは
しろい ふくをきた
くまの クーク。
おきゃくさんは
ねむれない どうぶつたちです。
きょうは めずらしく
おきゃくさんの こないよるでした。
おみせのまえの はっぱも
だれかのあしあとも ありません。
クークは ランプを ていねいにふきながら
ことこと おなべに お水を いれました。
「だれかのためじゃなくて
じぶんのために つくるスープって
どんなあじだったかな」
おなべのなかに クークがいれたのは
きょう まちで もらった ちいさなきのこ。
まるいチーズの はしっこ
うすく あおい キャベツのはっぱ。
ゆっくり ゆっくり まぜながら
クークは
あたまのなかを からっぽにしていきます。
くつくつ
ぽこぽこ
それだけの音が おみせにひびいて
クークのからだに
しずけさが しみこんでいきました。
やがて できたスープを
クークは まあるいボウルにいれて
まどぎわの ちいさなテーブルに
すわりました。
まどのそとには ほしがひとつ
ひくく ながれていきます。
クークは ひとくち
スープを くちにいれました。
「……わるくないね」
おきゃくさんの ことばがない。
ありがとうも おいしいも ない。
でも スープは たしかに
からだのなかで ひろがっていきました。
クークは ゆっくりと いきをはいて
おなべを あらって
ランプのあかりを けしました。
まどのそとの ほしを みあげながら
クークは そっと つぶやきました。
「いいゆめが みられますように」
その声は スープの ゆげのように
ゆっくりと よるに とけていきました。

