ほしのスープやさんと バスのふくろう

あるところに
ちいさなスープやさんがありました。
おみせは 山の上にあります。
まわりには ほしが いっぱい。
とても しずかな ところです。
おみせの なまえは
「ほしのスープやさん」
おみせをしているのは
しろい ふくをきた
くまの クーク。
おきゃくさんは
ねむれない どうぶつたちです。

そのよる クークが
ランプのそうじをしていると
とおくから ブーーン… という音が きこえてきました。
やがて 山みちを のぼってきたのは
ちいさなバス。
「すいみんバス」 と かかれた
ねむりのなかを はしる とくべつなバスです。

バスのドアが ひらくと
そこから ふくろうが とことこ おりてきました。
まるいメガネをかけて
マフラーをくるっとまいた
おっとりとした ふくろうでした。
「こんばんは」
「いらっしゃい」
クークは にっこりと ドアをあけました。

「ねむりのじゅんびは できてるんだけど…」
ふくろうは ちいさな声で いいました。
「きもちが さきにいきすぎて なかなか おちつかなくてね」
クークは うなずいて
「それなら、“ととのえスープ”が ぴったりかも」

くつくつ
ぽこぽこ
おなべのなかに
きざんだハーブと うすいキャベツ
とろける ごはんのような やわらかいもち麦。
クークは ゆっくりまぜながら
とろとろの あおいスープを つくっていきました。
さいごに レモンのしずくを すこしだけ。

「どうぞ」
スープが テーブルに ならぶと
ふくろうは めがねを はずして
そっと ひとくち のみました。

「……ああ」
ふくろうは 目をとじて ほっと いきをはきました。
「ととのえるって むずかしいと おもってたけど
こういうことかもしれないなあ」
クークは にっこりして こたえました。
「なんでもね
ゆっくり まぜれば ちゃんと ととのうんだよ」

ふくろうは のこらず スープをのんで
おなかを やさしく なでながら
「もう、つぎのよるでも いいくらいだなあ」 と
ちいさく つぶやきました。

そのとき
バスのクラクションが ぷっぷー と やさしく なりました。
「そろそろ ねむりのつづきに いかなくちゃ」
ふくろうは マフラーを なおしながら いいました。

「ありがとう、クーク」
「また いつでも いらっしゃい」
バスにのった ふくろうは
まどごしに そっと 手をふりました。

ブーーン…
すいみんバスが しずかに うごきはじめると
クークは そのうしろすがたを ながめながら
ことことと おなべを また あたためはじめました。
「いいゆめが みられますように」

あるところに
ちいさなスープやさんがありました。
おみせは 山の上にあります。
まわりには ほしが いっぱい。
とても しずかな ところです。
おみせの なまえは
「ほしのスープやさん」
おみせをしているのは
しろい ふくをきた
くまの クーク。
おきゃくさんは
ねむれない どうぶつたちです。

そのよる クークが
ランプのそうじをしていると
とおくから
ブーーン…
という音が きこえてきました。
やがて 山みちを のぼってきたのは
ちいさなバス。
「すいみんバス」 と かかれた
ねむりのなかを はしる とくべつなバスです。

バスのドアが ひらくと
そこから ふくろうが
とことこ おりてきました。
まるいメガネをかけて
マフラーをくるっとまいた
おっとりとした ふくろうでした。
「こんばんは」
「いらっしゃい」
クークは にっこりと ドアをあけました。

「ねむりのじゅんびは できてるんだけど…」
ふくろうは ちいさな声で いいました。
「きもちが さきにいきすぎて
なかなか おちつかなくてね」
クークは うなずいて
「それなら、“ととのえスープ”が ぴったりかも」

くつくつ
ぽこぽこ
おなべのなかに
きざんだハーブと うすいキャベツ
とろける ごはんのような やわらかいもち麦。
クークは ゆっくりまぜながら
とろとろの あおいスープを つくっていきました。
さいごに レモンのしずくを すこしだけ。

「どうぞ」
スープが テーブルに ならぶと
ふくろうは めがねを はずして
そっと ひとくち のみました。

「……ああ」
ふくろうは 目をとじて
ほっと いきをはきました。
「ととのえるって むずかしいと おもってたけど
こういうことかもしれないなあ」
クークは にっこりして こたえました。
「なんでもね
ゆっくり まぜれば ちゃんと ととのうんだよ」

ふくろうは のこらず スープをのんで
おなかを やさしく なでながら
「もう、つぎのよるでも いいくらいだなあ」 と
ちいさく つぶやきました。

そのとき
バスのクラクションが
ぷっぷー と
やさしく なりました。
「そろそろ ねむりのつづきに いかなくちゃ」
ふくろうは マフラーを なおしながら いいました。

「ありがとう、クーク」
「また いつでも いらっしゃい」
バスにのった ふくろうは
まどごしに そっと 手をふりました。

ブーーン…
すいみんバスが しずかに うごきはじめると
クークは そのうしろすがたを ながめながら
ことことと おなべを また あたためはじめました。
「いいゆめが みられますように」